令和4年6月4日(土)開催
へぎ目の小皿造りワークショップのレポート
竹生園にて弊社の職人で京指物師の佐々木公夫によるワークショップが行われました。
今回体験したのは「鉈割り」と「うづくり」という指物の技術。ひとつの角材からへぎ目の杉小皿を制作しました。
竹生園で通常展示している古材を使った恵比寿箱や、妙喜庵の待庵古材である柿葺の屋根材も木材を鉈で薄く割った「へぎ目」の材が使われています。
1.
まず最初は実際に制作したものを拝見しながらその手しごとについての話を。
恵比寿箱については伝統的な指物の技術と、図面制作と機械加工の技術を持つ若い職人による当社オリジナルの木箱。
技術の継承と進化を同時に感じとることができる商品であり、様々な要素がひとつになった恵比寿箱を前に生徒さんからも自然と意見が飛び交いました。
普段なかなか聞くことのできない制作時のエピソードなど、佐々木さんが日々どのように素材と向き合っているかが伝わりました。
2.
そしていよいよ鉈割りとうづくりの体験。
「板目」と「柾目」の木目の違いや吉野杉の材料の説明を受けながらみなさまおもいおもいに吉野杉を鉈で割ります。
8cmほどの厚みの角材をまずは2つに割り、そこからさらに4つに、6つに、段階的に薄く割っていくことで小皿になります。
年輪や、木目の向きなど、木の特性をうまく活かしたへぎ目の加工。今ほど機械が充実していなかったであろう昔の先人達の知恵や技術が現代まで受け継がれていることにしみじみ感動します。
3.
仕上げはうづくり加工。
萱の根を乾燥させた道具で木目に沿って削ることで、木の柔らかい部分が削り落とされ硬い木目が美しくたってきます。
みなさま、それぞれの感性でとても真剣に仕上げていきました。
なんと今回、佐々木さんが制作の合間に菓子切りを造るための材料も用意してくださっていたので、みなさま吉野杉の菓子切りまで制作することができました。
4.
ワークショップの最後は早速制作した小皿と菓子切りを実際に使ってみます。それぞれの小皿に和菓子を取り分けて、プチお茶会。
制作した小皿に和菓子が乗り、道具として使われる姿はやはりきらきらと輝いて見えます。
「鉈割り」と「うづくり」というシンプルな作業の中で、ひとつの角材がひとつの工芸品に生まれ変わっていくのを感じることができるワークショップでした。
工芸の技術は建築や寺社仏閣などにも多く活かされています。
日常の中で工芸の技術を探してみると、また新しい発見や楽しみができるかもしれません。