中国茶会

中国茶会

2021年11月1日(月) – 12 月5日(日)に開催した「高野竹工 受け継がれる竹の美」展。最終日前日にあたる124日に夏にも大変ご好評いただきました、黄安希先生の「中国茶會」を十二月のお粥「八宝粥」で開催していただきました。

 

 

今回の企画展のために大広間に設えた竹林と古材の机に黄先生の道具が並び、布越しに透けて見える外の竹林とも見事に調和していて、始まる前からスタッフ一同も感激・・・!

参加の皆様が席につくと、先生のお話が始まりました。八宝粥は中国では「臘八節」と言われ、中国で陰暦臘月八日(128日)に五穀豊穣を祝って行われる臘八節に合わせて作られるお粥で、これから春節を迎えるための前祝のような感じでいただくおめでたいお粥だそう。こちらを何種類かの中国茶とともにいただきます。

お茶を頂く前にまず邪気払い。一人ずつ、前の人の鈴の音の余韻が消えるまで待って次の人が鈴を鳴らします。チリーン、と音が鳴るたびにあたりが清められていくようで、心が鎮ります。

 

 

最初のお茶はプーアールでした。いかにも固そうなプーアールの土色の塊と茶葉やお茶の種を眺めながら、中国お茶ロードを旅するような気持ちでいただきました。今回持ってきていただいたのは25年もので比較的若いそう。濃く煮出し、ガツンとした土の力が一気に身体に入り込んできて血が一気に巡ります。二煎目はカルダモンを入れて。ふわっと香るスパイスの香りに体が温まりました。

次のお茶は清境農場高山茶。甘味のある香りの高いお茶で、あまりの美味しさに差し湯をいただき何杯もお代わりしてしまいました。お茶葉に湯を注いだ片口の上にお猪口を乗せるような感じで茶器を温めながらいただきました。これも決まったルールではなく先生独自のアイデアとのこと。そんな見立てを楽しくお伺いしつつ、お待ちかねの八宝粥の登場です。

 

 

竹茶碗に黒米でほんのり赤く染まったお粥、根竹盃に箸休めのオリーブや香の物、そして弊社の極細箸は笹を挟んだワシで包んであります。高野竹工の器やお箸が、まるで中国茶会のためにあつらえたもののように互いを引き立て美しく調和していて、またも一同感激です・・・!

 

 

なんと今回の八宝粥は十八種類もの雑穀や木の実、果物入り。次から次に異なる具材が味わえてまさに宝箱のよう。前の晩から漬けた雑穀を4時間ほどかけて弱火でコトコトじっくり炊いていただいたお粥は、ほんのり甘く、しみじみと体に沁み渡る美味しさでした。具材十八種を弊社が製作した竹節の小皿にずらり並べていただいて、またまた感激・・・!中国茶の茶托にと作られたものですが、こんな風に使っていただけたら器が喜ぶ!と思いました。先生も皆さんも、お干菓を乗せてもいいね、など口々にアイデアをくださって、勉強になりました。

最後の一杯は新茶。爽やかな若い茶葉の香りが体を吹き抜け、一年のいろいろな疲れが吹き飛んでしまうような清涼感で会が締めくくられました。

冬から春に向かう気持ちで流れを作ってくださり、季節と、場所と、道具を心ゆくまで味わえる今回の展示のフィナーレにぴったりの場を作っていただけたことに感動が止まりませんでした。ご参加いただいた皆様にも喜んでいただき、黄先生のお茶席とともに高野竹工の竹の展示や作品にも強く関心を示され、また開催して欲しいとのリクエストもいただいて大変嬉しく思います。季節ごとにこのような会を開催していきたいと思っています。寒い中お越しいただいた皆様、本当にありがとうございました。

 

【ゲストプロフィール】

茶事家 黄安希
1997年 中国茶教室「中国茶會」主催。
2001年 大阪西天満に茶館「無茶空茶」をオープン。
現在は大阪本町にて中国茶教室「無茶空茶」を主催。
著書:別冊太陽「中国茶で楽しむ12カ月」平凡社
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